いのちの食べかた

残念ながらもう倒産してしまった理論社の「よりみちパン!セ」シリーズ。いまはイースト・プレス社に鞍替えしてるみたいですねhttp://www.eastpress.co.jp/panse/。このシリーズは中学生あたりがターゲットなんだけどおとなも十分楽しめるのが良いところ。随分前にとりあげたサイバラさんのこの世でいちばん大事な「カネ」の話もこのシリーズでした。

屠殺場で働く人たちの働きぶりから、差別問題の話へ。前述したとおりに中学生向けに書かれているので一足飛びではなくわりとゆっくりじっくり丁寧に導いてくれる。後半になると「思えば遠くへ来たもんだ」感が半端無いですが(笑)。
森達也さんの本はいくつか読んでいるのだけれど、通底しているのは「みんなこうやって言っている節があるけれどどうにも怪しいと思わないか?こう考えることはできない?」というスタンスだと認識しています。この本もその例に漏れず、読者に問いかけ自分で考えることを促してきます。そして積極的に情報を採りに行くことを薦めます。
ネットが発達して一個人がマスを相手に情報発信するのが容易な現在、情報をどう扱うかというのはとても重要な問題です。子供のうちから情報の海原で水遊びさえさせないでは耐性がつかないという意味でもちろん問題です。しかし、だからといって情報の大海原を航海図も持たずに船出させるのは殺人と等しいでしょう。取捨選択した情報の取扱いについても言及があるといいのではないかと思いました。