裏切りのサーカス

原作「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」を4分の1ほど読んでからの鑑賞。この原作が難読でなかなか読み進められず公開期限が迫ってきたために止む無く読了前の鑑賞となりました。

ゴーストライター」を見た時にも似た通底する重厚な雰囲気は好き。特に冒頭のシーケンスは淡々としてるんだけど飽かず観ていられました。スマイリー(ゲイリー・オールドマン)がカーラとの邂逅を吐露する場面の徐々に熱を帯びていく感じやオリバー・レイコン(サイモン・マクバーニー)だったっけか?がカリカリのトーストにバターを塗るシーンが印象的。
そして、サー・ポール・スミスが大きく関わっているのもあるのでしょうが衣装から色調から何から何までお洒落。「おしゃれ」でも「オサレ」でも「シャレオツ」でもなく「お洒落」。ポップなそれではなくトラディショナルでシックなもので時代感を感じさせとても素敵でした。それはサーカスという独自の雰囲気を持ったところには合っていたかも。まぁ「サーカスの連中ぼろぼろの安モン着てるんだけどね」的なスタンスだったとしてもぜんぜんきらいじゃないけどね。

原作の膨大なボリュームを限られた時間の中にそつなく詰め込んでいる手法は見事で、すべての登場人物が丁寧に語られていたと感じました。ただ、この物語を「謎解きモノ」として見ると4人のもぐら候補の描写はとたんに物足りなく感じられます。つまりその点はこの物語の焦点ではなく、あくまで「スマイリーと男たち」の物語なんですね、きっと。謎解きの部分は正直なところついていけませんでした。読解力がないんですね、俺に。

蛇足ですが「ダークナイト・ライジング」では敵対しているふたりが同舟しているさまはなんだかニヤニヤしてしまいますね。
鑑賞後に上っ面だけをそれでもノロノロリと読み進め残り150ページほどです。読後にはこの物語の真髄を味わえることができるのでしょうか?どちらにしろ映画一度だけの鑑賞だとその領域に到達するのは難しそうです。
自分に二度目は…、どうでしょう?なんとも言えません。




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