おおかみこどもの雨と雪

花は強し!

医療や助産婦の力を借りずに産んでしまうことの危うさ。
世間から孤立して育児を続ける危うさ。
子供たちの正体がバレてしまうのではないかという危うさ。
花が倒れたら子供たちはどうなってしまうのだろうという危うさ。

雪のとびきりのおてんばぶりや雨の恥ずかしがり屋さんぶりを観ていて「かうゎうぃうぃ〜」となること請け合いなのですが、心底そこに浸れないのはそういった危うさがもたらすいつか来るであろう危機を感じずにはいられないから。
とにかく観ててずっと息がつまりっぱなしでした。

雨の旅立ちに直面し「まだなにもしてあげられていない」と言っていたのがおおかみとしての雨の咆哮を聞いて「しっかり生きて!」になるまでの花の感情の展開は、正直なところ「切り替え早いな」と思わないでもなかったけどそれを加味してもやはりとても感動的なシーンでした。
ギリギリでよく頑張ったね、花。

聡明な花だから「結果的に」ギリギリ持ちこたえたといった印象。このギリギリ感がちょうど良い塩梅ではあったと思います。花は聡明ではあるけど完璧ではなかったから。「あぁすべきだった」とか「こうすべき」という指摘材料は多数あるところでしょう。
花みたいに母は強い。でもすべての母が花みたいに強くはなれない。そのあたりがこの映画の罪深さをはらんでいるような気がします。勇気をもらう人もいれば絶望する人もいるんじゃないだろうか。「花みたいに私は頑張れない」と。

とりあえず独身男としては両親への感謝を再認識です。