ゴーストライター

2011年9月30日 センチュリーシネマにて。

およそアメリカが舞台とは思えないくらいに鈍色が支配する画面の質感は好きです。ウェルメイド感があって「いい映画観てんだな、俺」っていう感覚になりました。揶揄でなく。

ミステリーって脚本ががっちりしてないとのめり込めないと思うんだけど、その点では気になるところがあったので没入出来なかったな。可もなく不可もなくって感じ。CIA関連の情報ってググッてわかるのかな?そしてソースの信頼性は?そのへんを丹念に探る描写があったらなら「ゴースト」(ユアン・マクレガー)の行動に正当性がもたせられるし感情移入もし易かったと思うんだけどなぁ。あとあそこまで行ったならカーナビの目的地は途中で確認するでしょ。まぁつまるところ「ゴースト」は「暗部」にせまるにはあまりにずさんな人間だったってことでいいのかな?自分を諌めながらも元首相の妻ルース・ラング(オリヴィア・ウィリアムズ)と結局関係しちゃう詰めの甘さだし。あそこは笑ったけど。

でも元首相の妻が実はCIAの外国部隊だったというオチは面白かった。いままで感情移入してきた対象が忌避すべき相手だったという裏切りは心地よかったな。普通の人怖ェーという感覚は「冷たい熱帯魚」を観た時も感じた思いだな。佇まいは全く違うけど。でもラスト交通事故て…。原稿ばら撒かれちゃうじゃん。いいの?見る人が見たらわかるでしょ?「ゴースト」のずさんさというより「あっち側」のずさんさを感じるんだよね。

ゴーストライターが「仕える人」たちがアジア系の人たちで、その描き方がなんとなく見下しているのかな、と感じた。嫌悪感はないけど「あぁ、そうなのね」という感じ。欧米人にしたら東洋人がやはりどこかミステリアスなのかな?そのミステリアス感は映画に通底している雰囲気と相まって良い感じでしたよ。



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