ツリー・オブ・ライフ

8/13 TOHOシネマズ 木曽川 にて。

ツリーとは樹形図のことだろうか?自分という個は地球、いや宇宙創成からの脈々と受け継がれた命のリレーの一つのノードでしかない。俯瞰の立場から見ればそういうことだろう。しかし個の立場からの主観となれば、それは「奪われ、与えられる」立場となる。
…と思ったらどうやら"生命の樹 - Wikipedia"のことらしい。へー。

個人的には大変興味深い映画だが面白い映画ではない、といったところ。正直うつらうつらとしたところが何度かあった。興味を持続させるほど惹きつけるものが自分には感じられなかった。鑑賞前に「2001年宇宙の旅っぽい…」という文言をネット上でほんのチラッと見たので冒頭の宇宙創成から生命誕生云々のあたりは特に面食らうことはなかった。しかし恐竜のCGで愕然。とても安っぽいのだ。水辺を走るのに水しぶきさえ飛ばない。映像は一見綺麗だけど写実的であるはずのCGがいかにも稚拙。うーーん。

表現物を提示するときに評価を得やすいのが「共感を得る」というやつだ。この映画の共感ポイントは「親子関係」のあり方だろう。その点から見るとわりと多くの人が「この気持わかるわ」という点を見いだせるのかもしれない。殆どの人が誰かの「子」であるのだから。親から言われたちょっとしたひとことをずっと覚えてたりするよね。そして自分自身が「親」である立場の人はこれまた一つ共感ポイントが加わり、そしてもう一つ。いずれ訪れる「死」はすべての人が共感し得る題材だ。切迫度の違いはあれどこれは紛れも無い事実。しかしこの映画にはアメリカ社会とキリスト教という要素の色がかなり濃い。それらが普遍的な何かを霞のように多い隠してしまっているかのように感じた。これは自分がこのあたりに疎いからだしそういう人は日本だと特に多いんじゃないかな?

ジャック(ハンター・マクラケン)の思春期に差し掛かる頃の父親(ブラッド・ピット)との息の詰まるような距離感はとても好感が持てた。そして、母親役のジェシカ・チャステインのたおやかな佇まいは出色の出来だと思う。穏やかで愛に溢れ女性としても美しい彼女の存在は、緊張感漂う父子を柔らかな光で包むまるで絹布のようだった。映画を通して光の見せ方はとても印象的で、これはテレンス・マリック監督の特徴だそうだ、とあとから知った。

ジャックの誕生から成長を綴るあたりでもせいぜい中学生になるくらい?までで終わっていて大河ドラマ的スケール感はない。なにかすべてが中途半端。意図的に削っているのなら(噂ではディレクターズカットは8時間あるとかないとか)、もう少し説明を上手にしてもらわないと都合上削ったという感がしてしまうなぁ。
遅れてくる人あり、早々と席を立つ人あり、半ば過ぎで席を立つ人も。つまるところ最大公約数的な映画でないのはあきらか。観る人を選ぶ映画なのは間違いない。今回映画見たあとにみんなの感想知りたくて初めて2chの映画板を見に行った(賛否両論喧々諤々という感じww)。そんな気になったのは稀だし「他の人はどう捉えたんだろう?」と気になる度合いが高いのは確か。二度目を見るならいろいろお勉強してから見たいと思います☆



The Tree Of Life (Original Motion Picture Soundtrack)
Tree of Life
Lakeshore Records (2011-05-23)
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