未来を生きる君たちへ

2011年9月24日 センチュリーシネマにて。20人くらいは居た。「スーバー!」より多いのにびっくり!

ずっと息が詰まりっぱなしだった。話もわかりやすく登場人物たちの感情も推し量ることが容易で没入できた。夫アントン(ミカエル・パーシュブラント)と妻マリアン(トリーネ・ディアホルム)がなんのエクスキューズもなく仲直りしちゃうとことかは意味ワカンネ、と思ったけど、総じて役者陣の演技とか空気感はとてもよかったな。あと、クリスチャン(ヴィリアム・ユンク・ニールセン)のお父さん(ウルリク・トムセン)がかわいそうで切なかった。

観終わったあとに感じたのは絶望感。なんだか人生ってやっぱ難しいんですね。という感じだ。
原題は「復讐」という意味だそうで、この映画の主題は復讐がもたらす暴力の連鎖なのだろう。
しかし、自分としては復讐のような「過ち」を人間は繰り返して生きていくもので、それはどう償われるのか?という点が気になった。

世の中は「失敗する」人たちでいっぱいだ。自分を含め。そしてそれを糾弾する人たちがそれ以上に、いる。
そんなときによくホフディランの曲を思い出す。

* 2015/01/10 15:15 引用歌詞を削除

登場人物たちはさまざまな過ちを犯して、そのせいで自らの望まざる結果を招いている。その結果の顕著な例は「暴力の連鎖」なのだがそれ以外にも、妻の心が離れてしまった、という結果や、友達の暴走を止められなかった、という結果や、様々。
「あの時浮気なんてしなければ」「あの時勇気を出して止めていれば」こんな結果は招かなかったのに。当時を振り返り後悔することはたやすい。そして厄介なのは当時だって別の選択肢を選ぶことができたはずだと心の底ではわかっていること。わかっていても過ちを犯してしまう。それはもう人間の能力ではどうしようもない範疇だったりする。

アントンはかなり頑張って自分を律していたのだが、一時的な感情で暴力の連鎖の鎖をつないでしまう。彼は子供たちに問題を暴力で解決することはとても下劣なことだと身を呈して教えるその一方で暴力の連鎖の片棒を担いでしまったのだから。端から見ているとそれは「あの状況ではしょうがないんじゃね?」というべき情状酌量の余地のあるものだが本人はいたく自分を責めたことだろう。彼を救うのは何だろう?これからの行いだよね?しかしどのような行いが彼を救うのだろう。永遠に救われないのではないか。となれば、やはり人間は救われない部分を多く抱えて、そういうものと付き合って生きていかざるを得ないんだろうな。


暴走純粋少年クリスチャンは最後にエリアス(マークス・リーゴード)に「ごめんね」を言う。
ごめんね、はまず第一歩なのだろう。そして自分は「赦せる人」にできるならなりたい。






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